トレーニング解説 ~ベンチプレス編~

トレーニング

はじめに

多種多様な筋力トレーニングの中でも、BIG3のひとつとして知られるベンチプレスは非常に効果が高いエクササイズです。しかし、種目の特性上、肩や手首を痛めてしまったり、きちんと胸に効かないという方も少なくありません。そこで今回はベンチプレスの正しい行い方を解説していきます。是非最後まで読んで参考にしていただければ幸いです。

鍛えられる部位

ベンチプレスは主に胸をトレーニングする種目です。しかし、多くの関節を使用する複合関節運動であるため、胸だけでなく肩や腕(上腕三頭筋)にも負荷が掛かります。

主働筋…大胸筋
協働筋…上腕三頭筋、三角筋前部
固定筋…回旋筋腱板(ローテーターカフ)

効果

UnsplashEmily Morterが撮影した写真

筋力向上

ベンチプレスは上半身の中でも大きな筋肉である大胸筋に加え、肩や腕回りも一度にトレーニングすることができ、効率的に上半身の筋力アップが期待できます。
当然、筋力アップにより厚みのあるたくましい身体を手に入れることができますが、重量や回数を工夫することで筋肥大ではなくシェイプアップ(引き締める)することも可能です。

競技力向上

また、フィジカル的な強化だけでなく、物体を押し出す動作を鍛えることができるため、競技者・アスリートの方にとってはパフォーマンスを向上させる一つの手段として活用することができます。

ダイエット

ベンチプレスは使用する筋肉が多く、複数の部位をトレーニングすることができます。したがって、より多くの筋群を刺激することができ、結果として代謝機能の向上が見込めます。

ベンチプレスの正しい行い方

ベンチプレスを行う上で正しいフォームを理解することは非常に重要です。数あるトレーニングの中でも特に怪我や事故が多いものですので、細心の注意を払って行いましょう。

手順
1.目線とバーが重なる位置でベンチに仰向けの状態で寝る

2.頭、肩、お尻がベンチについた状態(背中は付けない)で軽く足を開き、しっかりと踏ん張れる体勢を作る

3.肩甲骨を寄せ胸を張って肩幅より広めにバーを握る
→下ろし切った際に、肘が約90度になるのが理想です。

4.3の姿勢を保持したままラックからバーを離し、胸の中部~下部に向かってゆっくりと下ろしていく
→しっかりと両足で踏ん張りましょう。また、お尻を締める(臀筋群を収縮させる)と下半身も連動して全身で支えることができ、安定感が増します。

注意点

ウォーミングアップを必ず行う

どんな種目にも該当することですが、ウォーミングアップを必ず行ってください。胸、肩周りを十分に動かしてから種目に入ります。また、慣れてきても最初はバーのみで動作を行い、フォームを確認しますしょう。そして、徐々に重量を上げていくようにしてください。

セーフティーバー・カラーを必ずセットする

ベンチプレスを行う際は、たとえ軽い重量で行うとしても必ずセーフティーバーをセットしてください。セットする位置は、首より上かつ動作の妨げにならない位置です。(高すぎるとバーを下した際に胸よりも先にセーフティーバーに当たってしまいます)
ウォーミングアップでバーのみで動作を行っているときに、適切な位置に調整するようにしましょう。
また、プレートを固定するためのカラーは必須です。カラーが無いとプレートがずれてしまうだけでなく、最悪の場合落として事故に繋がります。必ず装着するようにしましょう。

動作中は常に肩甲骨を寄せ、胸を張った状態を維持する

動作中はしっかりと肩甲骨を寄せて胸を張ってください。この姿勢ができていないと、胸への刺激が伝わりにくいだけでなく、肩のインナーマッスルである回旋筋腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)を痛めてしまいます。ベンチプレスで最も多い怪我ですので、細心の注意を払ってください。

手首は真っ直ぐに保つ

バーを握る際、手首が寝た状態(掌が上を向いた状態)で握ってしまうと、手関節に過度の負荷が掛かり、手首を痛める可能性があります。そのため、手首は真っ直ぐに保った状態で行うように意識してください。必要に応じて「リストラップ」を使用すれば、このような怪我を予防することができます。

セット数、回数

セット数・回数は目標に応じて異なります。例えば、筋肥大やパワーの向上を目的とする場合、高重量・低回数で3~5セットを目安として行います。ここで言う高重量とは、3~12回で限界が来る重量です。※インターバルは1~2分程度
逆にシェイプアップや筋持久力を目的とする場合、低重量・高回数で1~3セット行うようにしましょう。ここで言う低重量とは12~25回で限界が来る重量です。※インターバルは30~45秒程度
良くジムで聞く「10回3セット」という設定は、どんな目的を持った方にも対応できるように定められたものです。まだ目標が定まっていない方や、初めに何をしたらよいかわからないという方は10回3セットでも全然OKです!

まとめ

今回はベンチプレスについて解説してきました。ベンチプレスは数あるトレーニングの中でも王道の種目で、高い効果が期待できます。しかし、そのためには正しいフォーム・安全への配慮を徹底しなければなりません。是非、この記事を参考に挑戦してみてください!

参考文献

1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年

2.東山 暦(監修).ファンクショナルアナトミー(機能解剖学)スペシャリスト. 第4版, NESTA JAPAN事務局, 2021年, p.138

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