はじめに
皆さん(特に女性)は妊娠中の運動についてどのようなイメージを持たれていますか?
多くの方が妊娠中、運動はなるべく避けた方が良いと思っているのではないでしょうか。
確かに、妊娠中に激しい運動を行ってしまうと胎児だけでなく、母体を危険にさらすことになります。
しかし、適切な運動を実施することによって多くのメリットがあるのも事実です。そこで今回は妊娠期にできる運動と注意点について詳しく解説していきます。是非、安全に配慮し、無理のない程度に実践してみてください。
※前提として妊娠前から運動習慣を身に付けておくことを推奨します。妊娠後は適度な負荷でできる運動を継続するようにしましょう。
そもそも妊娠中の運動の効果とは
まず、妊娠中の運動には以下の効果が期待できます。
・背中の痛み、脚のむくみ、疲労、静脈血栓症、静脈瘤等の妊娠期特有の不快感を軽減する
・心身ともに健康な状態を保つ
・心血管系のストレスを緩和する
・妊娠高血圧症候群を予防する
・過剰な体重の増加を抑制
・分娩、出産時の負担軽減
・産後の早期回復
このように、妊娠期の運動にはダイエット面だけではなく、出産やその後の回復に対しても嬉しい効果が期待できます。
とはいえ、女性にとっては心身ともに様々な変化が起こる時期であるため、体調に合わせて無理のない程度に行ってください。
どのような運動を実施すべきか
妊娠期の運動は原則として激しいものは避けてください。激しい運動とは例えば、身体接触があるスポーツやテニスのように切り返しを伴うスポーツ、バランスを崩してしまう恐れのあるスキー等です。また、どんな運動を行うにしても中等度(誰かと会話ができるくらい)にとどめ、水分補給を徹底しましょう。
以上のことを踏まえた上でおすすめの運動を3つご紹介します。
ウォーキング
最初におすすめしたいのはウォーキングです。こちらは誰でも気軽に始めることができ、習慣化しやすいのが特徴です。また、配偶者やご家族などの同伴者も付き添うことができるため、万が一のときに安心できます。
実際に行う際は朝が最もおすすめの時間帯です。朝は人や車が少ないだけでなく、太陽の光を浴びることができます。私たちの身体は太陽を浴びることで、免疫力アップ・骨の強化に必要不可欠なビタミンDを体内で生成することができます。一日のスタートとしてウォーキングを取り入れ、心も身体もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
マタニティスイミング
マタニティスイミングとは妊娠中の女性に特化した水中でのエクササイズです。あまり聞きなれない言葉ですが、水中では転倒するリスクが無いため、先述したウォーキングよりも安全に行うことができます。さらに、このプログラムを導入しているジムでは専門のインストラクターの方が指導してくれるため、初心者の方・運動に自信がない方でも全く問題ありません。安全面に配慮しながらも確かな効果が得られます。なぜ、水中でのエクササイズが良いのか。詳しく解説していきます。
まず、何よりも水圧による恩恵です。水圧があることにより、陸上よりも強い負荷で行うことができます。また、適度に手や脚を圧迫してくれるため、妊娠中の女性によく見られるむくみの解消にもつながります。
次に、水温により体温が上がりすぎないことです。妊娠中の激しい運動によって体温が上がり過ぎてしまうと、本来胎児に送られるべき血液、栄養素が筋肉や皮膚に送られてしまい、胎児を危険にさらすことになってしまいます。水中でのエクササイズでは水が熱を吸収してくれるため、母体の体温上昇を抑制してくれます。
このようにマタニティスイミングには安全を確保しながらも多くの効果が期待できます。是非チャレンジしてみてください。
マタニティヨガ
マタニティヨガは妊娠中の女性に特化したヨガのことです。通常のヨガと異なり、無理な体勢や仰向け・うつ伏せといった妊娠期に懸念される体勢は極力避け、安全面に配慮しています。こちらもマタニティスイミング同様、専門のインストラクターが指導してくれるため確かな効果が期待できます。
マタニティヨガによって股関節の柔軟性が向上すると、出産がスムーズになるといわれています。また、ヨガ中に行うゆっくりとした呼吸法はお産の呼吸法と似ているため、予め身に付けておくことで出産に役立つとされています。
ヨガによる恩恵は身体面だけではありません。妊娠期の女性は自律神経が乱れやすく気分が落ち込んだり、人によってはうつ病のような症状が出る方もいます。ヨガで行う適度な運動やゆっくりとした呼吸には自律神経を整える作用があるため心身ともに健康的なエクササイズといえるでしょう。
まとめ
このように妊娠期の運動には多くのメリットがあります。しかし、これらは全て安全に配慮していることが前提の話ですので、無理は禁物です。
冒頭にも話しましたが、妊娠前から運動習慣を身に付け、出産に備えておきましょう。この記事を読んでくださった皆様が健やかな妊娠期を過ごせるよう心からお祈りしております!
参考文献
1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年
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