筋トレにおけるネガティブ動作とは?なぜネガティブを意識すべきなのか

トレーニング

はじめに

筋力トレーニングにおいて「ネガティブを意識するのが良い」と聞いたことはありませんか?YouTubeやインスタのトレーニング解説動画をみるとこのような言葉をよく耳にします。しかし、ネガティブとは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。また、なぜネガティブ動作を意識すべきなのでしょうか。今回の記事ははそんな疑問を抱いている方に読んでいただきたい内容です。

筋収縮について

まずはネガティブ動作の説明に入る前に筋肉の収縮様式について解説していきます。
一般的に行われている筋トレでは大きく分けて三つの筋肉の状態があります。

一つ目は筋肉が長さを変えずに力を発揮する「等尺性筋収縮」です。これはある姿勢を保持したり、ダンベルを持ち上げてそのまま保持するときなどに発生する筋収縮です。少し専門的になりますが、トレーニングにおける「ホールド」という動作や「体幹トレーニング」をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

二つ目は筋肉が縮みながら力を発揮する「短縮性筋収縮」です。アームカール(肘を支点にダンベルを挙げる種目)で例えるとウェイトを挙げるときの動作で上腕二頭筋の短縮性筋収縮が起こります。

三つ目は筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する「伸張性筋収縮」です。同じくアームカールで例えるとダンベルを下すときに上腕二頭筋の伸張性筋収縮が起こります。
※特別な器具が必要になる「等速性筋収縮」は一般的でないため割愛させていただきます。

ネガティブとは?

先程筋肉の収縮様式について説明させていただきましたが、ネガティブとは伸張性筋収縮、つまり筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する場面のことを指します。
なぜネガティブ動作を意識すべきかというと、重りを挙げるポジティブ動作よりも多くの神経系が作用し、僅かながら高い筋肥大効果が期待できるからです。
筋力トレーニングにおいて、重りを挙げることだけを意識してしまいがちですが、実際には降ろすときも同様に意識すべきだといえます。
また、身体活動において最も怪我が発生しやすいのは、ストップ・着地・切り返しなどの衝撃を吸収する場面だと言われています。筋力トレーニングにおいては重りを下す場面、すなわちネガティブ局面です。この時に意識を集中させ、ゆっくりと動作を行うことでこのような怪我を防止することができます。

注意点

動作はゆっくりと

ネガティブ動作を意識するということは端的に言えば「ゆっくりと行う」ということです。
重りを下す際、力を抜いて早く下ろしてしまうと伸張性筋収縮が発生しにくく、ネガティブ動作による恩恵を受けることはできません。

ポジティブ動作も重要

ここまでの説明を聞くと、ネガティブ動作だけやっておけば良いと感じてしまうかもしれませんが、ポジティブ動作も同様に筋肥大効果が期待できます。あくまでネガティブ動作も意識することで、より高い筋肥大効果が期待できるという認識で留めていただければ幸いです。

実際のトレーニング例

ネガティブチンニング(懸垂)

UnsplashVictor Amenzeが撮影した写真

この種目はネガティブ動作にフォーカスしたトレーニングの代表例といっても過言ではありません。通常、懸垂は腕力・背筋を使って身体を上げる・下すを繰り返します。しかし、ネガティブチンニングでは下す場面のみを行います。
身体を上げる際は足で地面を蹴って勢いで上り、ゆっくりと下ろします。再度地面を蹴って勢いで上り、ゆっくりと下ります。これを繰り返すのがネガティブチンニングです。地面に足が届かない場合は椅子や台を利用して行いましょう。
この種目は通常の懸垂ができない方におすすめです。また、トレーニング上級者であっても疲労が溜まった後の追い込みとして行うとかなり効かせることができます。

動作中握力の方が先に疲れてしまい、背中への負荷を掛けにくいと感じている方は下記リンクのパワーグリップがおすすめです。手の保護にもなりますので、持っていて損はないと思います。

マシンでのネガティブ動作

Welcome to All ! ツによるPixabayからの画像

フリーウェイトの場合、重りを下すときがネガティブ動作であるため理解しやすいですが、マシンだと複雑でよくわからないという方は少なくありません。
もし、慣れていないマシンを使用する際に、ネガティブ局面が分からなくなった場合はマシンのウェイト部分に着目してください。
動作中、ウェイトが上がる場面がポジティブ、ウェイトが下りる場面がネガティブとなります。
また、ウェイトが着くギリギリで止めて動作を行うことで負荷が抜けるタイミングが無くなり、より短時間で集中的な負荷をかけることができます。

まとめ

ネガティブ動作を意識することで筋力トレーニングの効果をさらに上げることができます。また、怪我の予防にもなるため、初心者や高齢者の方など重りを扱うことに不安がある方には特におすすめです。
ただし、ポジティブ動作も重要であるため、両方とも意識しながら行うようにしましょう!

参考文献
1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年

2.東山 暦(監修).ファンクショナルアナトミー(機能解剖学)スペシャリスト. 第4版, NESTA JAPAN事務局, 2021年, p.138

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