はじめに
昨今のダイエットは食事制限と併せて筋力トレーニングを行うことが常識となっており、年齢・性別問わず多くの方が取り組んでいます。しかし、そんな筋トレによって筋肉が大きくなり、プロポーションが崩れてしまうのではないかと心配する方も少なくありません。そこで今回はダイエット中の筋トレの効果と筋肉を大きく(筋肥大)させずに筋力をつけるための方法について詳しく解説していきます。
そもそも筋トレは必要?
まず、ダイエットにおいて筋トレが必要なのかと悩んでいる方もいらっしゃるかと思いますが、リバウンドしないためには間違いなく必要です。
正直、体重を落とすだけであれば食事制限のみで達成することはできます。しかし、そのようなダイエットでは同時に基礎代謝まで落ちてしまい、体内でエネルギーを消費する機能が低下していきます。結果として体重は落とせたとしてもダイエット前より太りやすい体となってしまい、リバウンドしてしまうのです。
したがって、ダイエットでは筋力トレーニングを行うことで基礎代謝の低下を防ぎ、リバウンドしないための身体づくりを行うことが必要不可欠です。
筋肉の種類について
本題のトレーニング方法に入る前に、知っておいていただきたい筋肉の種類について解説していきます。筋肉には大きく分けて2種類の筋肉があり、それぞれ速筋、遅筋と呼ばれています。それぞれ特性が異なりますのできちんと理解しましょう。この知識を持っているかいないかでトレーニングの質が大きく変化しますので是非最後まで読んで参考にしてください。
※速筋・遅筋それぞれの特徴を併せ持つ中間筋(ピンク筋)も存在しますが、今回の説明では省いています。
速筋(白筋)
速筋は筋繊維が太く、瞬間的に力を発揮する能力(パワー)が高いのが特徴の筋肉です。筋繊維が太いため、筋肥大しやすく、見た目も変化しやすいです。ウェイトリフティングや短距離種目、跳躍系の種目の選手はこの速筋が発達しています。
機能面での特徴としては、先述した通り瞬発力を生み出す能力が高いです。しかし、ミトコンドリアと呼ばれる体内のエネルギー産生を担う細胞小器官や血管は少なく、ダイエットよりもパワー系競技やボディメイクといった目的でトレーニングされる筋肉であるといえます。
※ミトコンドリアとは細胞の中に存在する細胞小器官です。主な働きとしては、私たちが日常生活や運動を行う上で欠かせないエネルギーを生み出しています。したがって、脂肪の酸化を促進する働きを有しており、ダイエットに非常に役立ちます。
速筋は少ない回数で限界が来るほど重たい重量(高負荷)でトレーニングをすることによって発達していきます。少ない回数とは8回以下を目安にお考えください。少ない回数で限界を迎えるほど体にかかる負荷が大きいため、速筋が発達しやすいといえます(例.100㎏ベンチプレス5回等)。
また、ウェイトを持たずとも100m全力疾走やその場でできるだけ高く飛ぶようなジャンプ等でもトレーニングすることが可能です。
※トレーニングの経験が少ない方がいきなり重いウェイトを扱うことは大変危険です。正しいフォームを意識したうえで徐々に負荷を上げるようにしてください。
遅筋(赤筋)
遅筋は持久力が高いのが特徴で、長時間にわたって運動する際に優位に働く筋肉です。豊富な毛細血管とミオグロビンに加えてミトコンドリアの量が多いため、脂肪の酸化を促進する能力が高いです。イメージとしては速筋と対極をなす筋肉であるといえます。
さらに遅筋は脂肪の酸化能力が高いだけでなく、サイズとしても大きくなりにくい筋繊維であるため、ダイエットに適した筋肉です。主にマラソン選手やスキーのクロスカントリーといった長時間にわたって運動を続ける選手はこの筋肉が発達しています。彼らの身体を想像してもらうとわかりやすいかと思います。
遅筋の鍛え方は速筋のときとは対照的に、少ない負荷で高回数をこなすとよいでしょう。高回数とは15回~25回を目安にお考えください。筋トレ初心者の方はダンベル等のウェイトを持たなくても十分に鍛えることができます。また、レジスタンス運動(筋力トレーニング)に限らず、ランニングや登山といった3分間以上継続して行うエクササイズでも鍛えられるため、ジムに通わずとも効果を得ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。筋肉には2つの種類があり、それぞれ異なる性質を有していることがご理解いただけたかと思います。もし、誤った方法でトレーニングを続けてしまうと、ダイエットのための筋力トレーニングのはずがプロポーションを崩してしまう可能性もあります。ご自身の目指す身体はどのような身体なのか、よくイメージしてみてください。自分にとって最良のトレーニングを選択し、理想の身体を目指しましょう!
参考文献
1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年
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