はじめに
今回は良質な脂質について解説していきます。ダイエットや健康維持のために注目されている脂質ですが、実際にはどのようなものを「良質な脂質」を呼ぶのでしょうか。また、一日にどれくらいの量を摂取するのが理想なのでしょうか。最後まで読んで参考にしていただければ幸いです。
脂質について
既にご存知かと思いますが、まずは脂質について解説したいと思います。必要ない方は飛ばしてください。
脂質は私たちの身体に無くてはならない栄養素で、糖質とともにエネルギーを供給してくれます。全ての細胞に必要とされており、ホルモンの材料でもあるため、ダイエットなどで極端に摂取を制限してしまうと健康を害してしまう恐れがあります。
また、脂溶性ビタミン(A,D,E,K)は脂質に溶けやすい性質があるため、これらのビタミンの吸収を助ける役割も担っています。
ダイエット中の脂質はNG?
先述した通り、ダイエット中だからといって脂質を取らないことは健康とは言えません。脂質を制限するローファットダイエットでも最低限の脂質は摂取するべきです。
確かに、三大栄養素と呼ばれる糖質・脂質・たんぱく質のなかで脂質は最もカロリーが高く、(糖質・たんぱく質:4kcal/g、脂質9kcal/g)取り過ぎはカロリー過多を招きます。しかし、健康的な理想としては一日の総摂取カロリーの約25%は脂質で補うべきだとされており、脂質も大切な栄養素であることを忘れてはいけません。
実際に気を付けるべきなのは、脂質の量ではなく質です。
良質な脂質とは?
「良質な脂質」という言葉をよく耳にしますが、実際にはどのようなものを良質な脂質と呼ぶのでしょうか。
脂質の中には必須脂肪酸というものがあります。必須脂肪酸は体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
主要な必須脂肪酸の例
ω-3脂肪酸
項目 | 含まれている食品 | |
α-リノレン酸(ALA) | 亜麻、ミックスナッツ | |
エイコサペンタエン酸(EPA) | 冷水魚(サケ、サバ、ニシン等) | |
ドコサヘキサエン酸(DHA) |
ω-6脂肪酸
項目 | 含まれている食品 | |
リノール酸 | 菜種油、トウモロコシ油 | |
アラキドン酸 | 鶏卵、肉、魚 |
表に示したものが良質な脂質の一覧です。(主要なもの)
含まれている食品を見ていただくとわかるかと思いますが、自然由来の食品が多いです。これは他の栄養素にも言えることですが、なるべく加工が施されていないものを選択すると、良質な栄養素を摂取することができます。
また、何か一つの食品に頼るのではなく、できるだけ色々な食材から脂質を摂取することを心がけましょう。
一日の摂取量
先程良質な脂質についてご紹介させていただきましたが、一日にどれくらい摂取すればよいのでしょうか。
これは、体重や生活スタイルによっても変動するものですので、一概に~gと定義づけすることはできません。したがって、一日に2000kcal摂取している成人を例に解説していきます。
先述した通り、成人は摂取カロリーの約25%を脂質から摂取するのが理想とされています。この場合、500kcalは脂質から摂取するのが理想ということになります。脂質1gあたり9kcalですので、
500÷9=55.5… つまり、一日当たり約56g摂取することが推奨されます。
このように、一日の摂取量の目安は摂取カロリーから簡単に算出することができます。ただし、これはあくまで理想ですのでダイエット中の方やアスリート、持病がある等の理由で変動があると思います。摂取量は個人に合わせて設定してください。
NGな脂質は?
ここまで良質な脂質について解説していきましたが、次は摂取すべきではない体に悪い脂質について解説していきたいと思います。
摂取すべきではない脂質、それは「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸は食品の保存性を高めようと人工的に水素を加え、水素化(部分水素化)した食品に多く含まれています。このトランス脂肪酸は過剰に摂取すると健康被害をもたらすことがわかっており、世界保健機関(WHO)もトランス脂肪酸の摂取を控えるための取り組みを進めています。日常生活においても、例えばスーパーに売られているマーガリンに「トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます」と記載されているのを見たことはありませんか。これも各食品メーカーによるトランス脂肪酸の摂取量を少なくするための取り組みの一つです。
このようなトランス脂肪酸は一日の脂質摂取量の1%未満に控えるべきとされています。
トランス脂肪酸を多く含む食品の例
・マーガリン
・ショートニング
・スナック菓子
・菓子パン
・ファストフード
・ケーキ…etc
下記リンクのように、トランス脂肪酸が使用されていない商品も多くありますので、代用するのもありです!
まとめ
今回は良質な脂質について解説していきました。私たちの身体に欠かせないものであるからこそ、できるだけ質の良いものを心がけたいですね。是非明日からの食生活に活用していただければ幸いです!
参考文献
1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年
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