はじめに
今回は「肋骨の開き」について、原因とその改善方法をご紹介させていただきます。
一生懸命ダイエットして、体重は減ったのにもかかわらずくびれが出ない・上半身がいまいち引き締まらない等のお悩みを抱えていませんか?
もしかしたらその原因は肋骨の開きかもしれません。
肋骨が開くとは?原因は?
「肋骨が開く」とは、肋骨を取り巻く周辺の筋肉が弱くなり、締めることができなくなったために肋骨が前後左右に開いた状態を指します。主な原因は姿勢の悪化(猫背・反り腰)、運動不足、浅い呼吸が挙げられます。
多くの方が利用するパソコンやスマートフォンは、集中しすぎると姿勢が悪くなるだけでなく呼吸も浅くなってしまい、肋骨の開きを助長してしまいます。
肋骨が開くことによる悪影響
太って見える
肋骨が開くとウエストが太く見えてしまい、くびれが出にくくなります。また、胸周りも厚みがあるように見えるため、痩せているのに体格がよく見えるといった現象が起こります。
呼吸が浅くなる
肋骨が開いている人は、腹式呼吸ができておらず胸腔・腹腔を隔てる横隔膜の機能をうまく活用できていないことが多いです。この状態を「呼吸が浅い」と言います。呼吸の浅さは肋骨周囲の筋肉や横隔膜機能を低下させてしまい、さらに呼吸が浅くなるといった悪循環に陥る可能性があります。
代謝が低下する
呼吸が浅くなると、それだけ酸素摂取量が減るため、酸素を利用して活動する細胞の活性が下がり、代謝が悪くなります。また、血液中の酸素が減少するため集中力の低減や疲れを取りにくくなり、生活の質にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
肋骨の開きを改善するエクササイズ
肋骨の開きを改善するためには、肋骨周囲の筋肉をしっかりとほぐし、強化するとためのエクササイズを行うことが最も効果的です。その上で、普段の呼吸を見直し、横隔膜を使った深い呼吸を身に付けることで根本的な原因にアプローチするのが良いでしょう。よくタオルやコルセットを巻いて改善しようとする方がいますが、あくまでもストレッチ&エクササイズが最優先です。それらを行わずにコルセットを巻いてもあまり効果は期待できません。
ストレッチ
まずは呼吸筋をほぐすためのストレッチです。肋骨の開きを改善するためには呼吸筋の中でも肋間筋と呼ばれる肋骨の間にある筋肉をほぐすことが有効です。以下、誰でもできる簡単なストレッチですので、是非チャレンジしてみてください。
1.両手を組んで、伸びをします。
2.そのままゆっくと右に傾きます。
3.同様に左にも傾きます。
4.最後にゆっくりと回旋しましょう。ここまでの動作を2~3セット
プランク
体幹トレーニングとして有名なプランクですが、実は呼吸筋のトレーニングとしても大変優秀な種目です。呼吸筋ターゲットにプランクを行う場合のポイントは、種目中大きく深い呼吸をすることです。体幹の筋群をしっかりと固定させながら(等尺性筋収縮)、呼吸筋を大きく動かすことによって、軸を保ったまま周囲の筋肉に刺激を入れることができます。
また、手の位置を頭側に上げたり床と手の間にストレッチポールを置いて不安定な状態にすることにより、呼吸筋に対してより強い刺激を与えることが可能です。
プランクの手順
1.うつ伏せの状態で両肘を曲げ、身体に対して縦の方向に前腕を置く。(肩幅程)
2.前腕とつま先で支え、腰を浮かす。
3.なるべく身体が一直線になるように注意し、20~30秒ほどキープする。
ワイドプッシュアップ
胸筋や三頭筋を鍛える種目として有名なプッシュアップ(腕立て)ですが、手幅を広めにとるワイドプッシュを行うと前鋸筋に刺激を入れることができます。前鋸筋は肋骨の外側から肩甲骨の内側縁に向かって付着する筋肉で、肩甲骨の安定化・肋骨の引き締めに深く関与します。したがってこの筋肉を鍛えることで肋骨の開きを改善することができます。
ワイドプッシュアップの手順
1.手幅は肩幅の2倍ほどで、手(指)が正面ではなく横を向くようにセットする。
2.1.でセットした手とつま先で支え、身体を浮かす。
3.肘が90度になるようにゆっくりと身体を下ろしていく。
4.つま先にはできるだけ力を入れずに、手で地面を押すようにして身体を押し上げる。
5.10~15回、3セット程繰り返す。
※辛い場合膝を着いても可
まとめ
今回は肋骨の開きを改善するためのエクササイズについて、根本原因へのアプローチをメインに解説していきました。いずれのトレーニングやストレッチも1日で結果が出るわけではないので是非継続的に行っていただければ思います。
参考文献
1.東山 暦(監修), パーソナルフィットネストレーナー, NESTA JAPAN事務局, 2019年
2.東山 暦(監修).ファンクショナルアナトミー(機能解剖学)スペシャリスト. 第4版, NESTA JAPAN事務局, 2021年, p.138
3. 大貫 崇. 呼吸機能と体幹,横隔膜の関係性について.日本アスレティックトレーニング学会誌.2019 年 5 巻 1 号 p. 27-34,呼吸機能と体幹,横隔膜の関係性について (jst.go.jp), (2023/11/03)
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